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『孤高の人』 [books]

失業保険の受給期間も終わり、ほんとうの自由の身になったいま、いろいろなことから開放された感じがする半面、これからどうしようという不安もちらほら。

そんな弱い自分を強くしようと、求めたところは加藤文太郎氏でありました。

『孤高の人』は10年以上前に1回読んだきり。いま、再び読んでいます。ただいま、下巻。そろそろクライマックスの一歩手前というところです。加藤文太郎というのはこの本の主人公のことです。

おもしろいのは、彼が結婚するくだりのところ。彼は、結婚前夜、実家に帰るのですが、翌日の結婚式は午後3時から。それまで何をしようと考えた彼は、山に登ろうと考えます(爆笑)。しかも夜通し、さらに野宿です。

低い山ですが冬なので雪が積もっています。そんなこともあり、3つの山に登ったときには午後3時。親類一同、いったいどうしたんだとやきもきしているところに、彼が走って実家に帰ってきたというおはなし。

これ、どこまでほんとかはわかりませんけどね。おそらく本当なのでしょう。笑えました。

ところで、彼の結婚前の生活といえば、

・会社まで片道6キロの道のりを、ザックに15キロの石を詰めて毎日歩いて通勤し、
・冬山対策のため、1週間に1度は下宿先の庭でテント泊をし、
・ときには山で食べられないときに備えて会社でも食糧制限、

という生活だったわけですが、結婚後は、

・石を背負って通勤することはやめた。
・ナッパ服での通勤もやめて、背広で通勤するようになった。

ということです。このあたりの変化について、新田次郎の文章によれば、

「花子と結婚して加藤は、独身時代のその喜びはいつわりのものであることをはっきり知った。今はそこにあたたかい花子の白い肌があった。その肌から伝わってくる体温こそほんとうの喜びであった。もはや野宿は遠い過去のものであった。」

ということです。独身時代の喜びはいつわりかよ、と世のひとりもの全員を敵にまわすようなことばが気になります(笑)。

つづく。

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