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山で迷わないための方法論② 「地図をどう使うか」 [やま]

第2回 地図をどう使うか

登山地図を使う時に私がおすすめするのは、ディフェンシブ(defensive)な地図読みです。

まず、地図読みを、オフェンシブ(offensive)な地図読みと、ディフェンシブ(defensive)な地図読みに分けてみたいと思います。かつてやっていたサッカーを思いだしながら書いているのでカタカナを多用してます。すみません。要するに攻めの地図読みか、守りの地図読みか、ということです。

たとえば、オリエンテーリングでは地図が命です。地図に書かれている情報は、たとえほんの少しの道の曲がりでも読み取らなければいけないことがあります。逆にいえば、このように地図上のあらゆる情報を読み取れるからこそ、自由自在に山の中を駆けめぐることができるのです。これをオフェンシブな地図読みとしましょう。

これに対して、登山地図の地図読みはディフェンシブな地図読みといえます。
どういうことかというと、第1回でお話ししたように、登山地図は1:50000と縮尺が小さくなりますので、大きなもの、わかりやすいものしか地図には載らない(載せられない)という特徴があります。したがって、オフェンシブな地図読みのように、地図上のあらゆる情報をすべて頼りにしてよいとは限りません。なぜかというと、省略されてしまったものもたくさんあるからです。

たとえば微妙な道の曲がりなどは、その回数が多ければギザギザで表示されることもありますが、小さく1回曲がっているような場合は省略されてしまうことが多いでしょう。ですから、そのようなものは最初から(地図に載っているのではないかと)あてにしてはいけないことになります。

しかし逆にいえば、あえて地図に載せている情報(特に文字情報)については、相当わかりやすいものだと一般的にはいうことができるでしょう。ヤマケイ11月号にも昭文社の『山と高原地図』の編集者の方のコメントがありますが、やはり利用者に使いやすいように作ってくれています。ですから、ある程度、情報をデフォルメしてでも、利用者にわかりやすく、使いやすく作られているのが登山地図です。

したがって、文字情報として載せられている情報はほとんどすべて「使える」ものといってもよいでしょう(たまに疲れていて見落とすこともないわけではないですが)。

文字情報とは、次のようなものです(八ヶ岳の地図を参考にしています)。
①所要時間
②「急坂」「岩石帯につき足元注意」などのコメント
③「あずまや」などの物理的なものの情報

これらについては、すべてあたまに入れておく必要があると思います。ディフェンシブな地図読みですから、目を皿のようにして地図を読む必要はありませんが、書かれていることくらいは注意を払っておいて損はありません。ちなみに、1日の予定ルートすべてについてあたまに入れておくのではなくて、次の休憩地点や、チェックポイントとなる場所までの情報で十分です。

長くなりましたがディフェンシブな地図読みについてまとめます。
登山地図では縮尺の関係もあって、相当確実な情報しか掲載していません。これを逆手にとって、掲載されている情報だけを確実に押さえていく地図の読み方のことをいいます。

あくまでも自分の経験ですが、地図に書かれた情報を一つひとつ確実に押さえていけるのであれば、迷うことはありません。

そうすると、もはや問題は地図にはなさそうです。なぜかというと、最低限のポイントだけを地図から読み取り、チェックしておけばよいからです。しかも主に文字情報ですから簡単です。

めでたしめでたし? いいえ、まだまだなんです。実は難しいのはここから。次回からは地図ではなく「現地」のお話です。
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